【レビュー】Apple Watch Series3(GPS+Cellular)ファースト・インプレッション
「Apple Watch Series3」が9月22日に発売開始となり、私も無事初日に受け取ることができました。約9ヶ月使った「Apple Watch Series1」と比較しながら、半月使ってみた感想としてファーストインプレッションを書いていきます。
外観について
初代、2代目と比べると、外観は何も変わっていません。スクエアな有機ELディスプレイやボタンの配置も変わらず。セルラーモデルであることを示す、赤いデジタルクラウン(リュウズ)以外で、新旧モデルを見分けることはできないでしょう。
重さはケースの素材によって異なりますが、アルミニウムのSeries1とSeries3で比較すると、Series1が30g、Series3が35g。最初は少し重いなあと思いましたが、すぐになれました。
ボディ裏側に「SERIES 3」との表記があります。また、モデル番号はバンドを外した場所に書いてあります。
Model | Area | 38mm | 42mm |
---|---|---|---|
Apple Watch Series3 (GPS + Cellular) | アメリカ合衆国 | A1860 | A1861 |
Apple Watch Series3 (GPS + Cellular) | ヨーロッパ・アジア太平洋 | A1889 | A1891 |
Apple Watch Series3 (GPS + Cellular) | 中国 | A1890 | A1892 |
Apple Watch Series3 (GPS) | - | A1858 | A1859 |
セットアップ手順について
iOS11以上のiPhoneなら、カメラを使って簡単にペアリングできるようになり、セットアップがめちゃくちゃ簡素化されました。ただし、セットアップ実行自体はめちゃくちゃ長く、1時間以上かかった(気がするけど測ってないので不明)。 カスタマイズ済みの文字盤など、Series1の設定を引き継ぐことができたので、初期設定はほぼ不要。名前の変更くらいかな?
性能改善について
プロセッサは今回は「S3」を搭載。性能は、前世代の「S2」から70%向上しています。「段違いに良くなった」という方もいますが、個人的にはそんなに差を感じません。標準App以外はほぼ使わないタイプなので、使用する機能によって感想は違うかもしれません。
もともと「もたつくなあ」という不満はありましたが、それがストレスには思ってませんでしたので、性能に対する期待値が低いのかもしれないですね。
ちなみにS2はS1から50%向上+デュアルコア化、S3はS2から70%向上(コア数は継続して2)。
LTE通信機能について
今回の目玉機能であるLTE通信機能。私が購入したものもセルラーモデルですが、iPhoneに挿さっているSIMはワイモバイル。今のところワイモバイルはApple Watchに対応していませんので、残念ながらAW単独でのLTE通信を試す機会が当面ありません。
iPhone Xなどをきっかけにドコモやauに乗り換えようか悩んでいるところです。ワイモバイルからソフトバンクに切り替えると転出手数料や契約解除料が免除されるキャンペーンもあるのですが、12ヶ月以上経過していないといけないので、来年の4月まで待たないといけないんですよね。
なお、iPhoneとBluetooth連携中はLTEは使えず、BT接続が切れてもWiFiアクセスポイントがあればそちらに繋がるとのこと(iPhoneで当該SSIDへの接続実績があるもののみ)。iPhoneを故意に携帯しないことはあまり考えられないので、「iPhoneを置き忘れてしまった」という時くらいしか単独通信の機会はなさそう。会社の中でフロア移動の際に置き忘れることは結構ありますが、そのときにAirPodsなどを持ち歩いている可能性は非常に低く、会社でAW単体で電話するかというと微妙なんだよなあ…。
ということで、そもそもの機会も少なそうですが、得られるメリットも、電話の着信や各種アプリケーションの通知が常に確認できるという点くらいかな。急いでMNPしなくてもいいかも。
Suicaについて
Series2からあった機能ですが、Suicaが使えるようになりました。これでコンビニやファミレス、スーパー、薬局、自動販売機などさまざまな場所でサイフもスマホもなしで買い物ができます。電車やバスにも乗れます。本当に便利です。
これで家の開錠・施錠や車のキーにもなればいいんですけどねえ…。
左手首に装着したAWで駅の改札(右側にFelicaポートがある)を通過しづらくないか問題ですが、私は若干不便に感じました。iPhoneでSuicaの認証を通すときと比べたら、スムーズに通過できません。まあiPhoneを鞄やジャケットから取り出す手間を考えたらAWの方が便利かな、とは思うのでAWで電車に乗ることになりそう。
ちなみに、JR東日本は推奨しないとおもいますが、改札のFelicaポートに物理接触させなくても、浮かせている状態で問題なく「ピッ」って反応してくれます。
1点気になるのはモバイルSuicaのグリーン券。グリーン席に乗るときに座席の天井部分のFelicaポートにタッチしなければなりませんが、手首をだいぶ曲げないとタッチできないのでつらい。これはiPhoneの方がいいですね。私の身長が低いせいもあるかと思いますが、手首がつらいです。私は腕から外してタッチしました。
モバイルSuica
Apple PayのSuica情報は、iPhoneとApple Watchで共有できません。なのでiPhone7のときは手持ちのSuicaプラスチックカードを移行しましたが、Apple Watch用には新規のSuicaを発行しました。ビューエクスプレス特約のためにAndroid用のモバイルSuicaもまだ生きてるので、モバイルSuica契約がこれで3つに…。
私はチャージはApple Payではなくクレジットカード(LINE Pay)からやってます。ビックカメラのビューカードなら1.5%ポイント還元されますが、LINE Payなら2%ですからね。複数Suica間でクレジットカード情報は同じものを設定できるので、どちらもLINE Payカードからのチャージが指定できて一安心。
なお、ビックカメラSuicaのビューカードは10月末までは、2.5%ポイント還元されるキャンペーンもやっています。
ビューカードならオートチャージできてさらに便利なのですが、これは共有不可なんですよね。残念ながら。そもそもAndroid版モバイルSuicaはビューカード会員以外は有料サービスとなっており、iPhone版モバイルSuicaで使えるビューカードがありません…。
ちなみに、Suicaポイントを貯めている方は、Suicaポイントクラブの設定見直しが必要ですのでご注意を。
バンドについて
今回新たにラインナップに追加された「スポーツループ」を今回はチョイス。見たまんま、ベルクロテープのような感じですね。
今までのバンドと異なりAW本体に取り付けたら常に輪っかの状態になっており、腕に装着する際には「狭い輪っか」に毎回手を通す必要あり。ほかのバンドと比べて装着時に少々手間取ります。
素材的に汗は吸ってくれそうですが、その分、劣化も気になる。洗えるのかな?
最初はなんだこれって感じですぐに以前のバンドに戻しましたが、まあせっかく買ったんだしということでスポーツループを2週間くらい使っています。肌触りはやはり良くはないですがあまり気にならないようにはなりました。
複数Apple Watchの使い分けについて
さて、新しいApple Watch購入にあたって、古いApple Watchをどうしようかなと思っていました。が、なんと複数のApple Watchを使い分けるための神機能が提供されていることに気づきました。
iPhoneとApple Watchが1対1の関係であること自体は変わっていないのですが、設定アプリ上で「自動切替」を有効にしておくと、そのiPhoneにペアリングされたことのあるApple Watchが腕に装着されたことを検知して自動的にペアリング対象のApple Watchを切り替えてくれるという機能が実装されています。いつからこんな設定あったんだろう?
なので、たとえば出かける際にはApple Watch Series3を使ってLTE機能やSuicaなどを利用し、帰宅時はApple Watch Series1に切り替えて心拍測定やMacのロック解除などの基本機能はそのまま使い続けた状態でSeries3の方を翌日のために充電させておく、という使い方ができます。
まあ早く複数iPhoneとマルチペアリングできるようにしてほしいんですけどね。別のiPhoneとペアリングさせるためには毎回初期化せねばならず、セットアップにくそほど時間がかかりますので。
まとめ
というわけで、GOT(ゲームオブスローンズ)にハマりすぎてブログも疎かになってしまっていましたが、ようやくApple Watch Series3のレビューが書けました。
「Apple製品は3世代目を買え」というのはApple信者にはおなじみの法則ですが、「Apple Watch Series3」でスマートウォッチとしての理想形に到達したといっても過言ではないと思います。性能も機能も十分に向上してストレスはほぼなくなりました。
Suicaはやはり鬼糞便利で、Series1ではなくSeries2を買うべきだったと後悔。
心拍測定の精度が上がり、心疾患へのリスク予防にもつながるということで、健康デバイスとしての完成度もまたひとつ上がりました。
一方で、LTE単独通信をメインの通信方式にはしておらず、依然として「iPhoneがないと成り立たない」というわかりづらさはそのままですし、それゆえの歯がゆさも強く残ります。「iPhoneユーザしか使えない」(iPadですらペアリング不可)という点で他人に勧めづらい製品であることにはかわらず、App開発者も専用Appを開発する気になかなかならないデバイスの1つなのではないでしょうか。TwitterもwatchOS4になってからまともに動かなくなりましたが、「まあそのうちなおすよ」くらいな感じでいまだに修正されていませんし、AW用のApp Storeに登録されているAppの数も少ないです。
なので、爆発的普及を迎えるようなデバイスにはまだなれていない、と思います。時計としては世界で最も売れていて、スマートウォッチとしてはかつていろんな会社がこぞって製品リリースしてきた割にはほぼ脱落してしまい、数少ない成功例の1つではあるのですが…。
そもそもの課題なのですが、「Apple Watch」はたしかに便利で私にとっては「家に置き忘れると頭を抱えるくらいに困るデバイス」という位置付けなんですけど、「どういうところがいいの?」となると、説明が難しいのです。「日常の運動の習慣が身につく」「身軽にSuicaが使える」「iPhoneのサブディスプレイ的に使えて、iPhoneがもっと便利になるんだよ」というのはもちろんキラーフィーチャーだと思うのですが、iPhoneでもできることがAWでもできる、ということに対して「わざわざ数万円支払い、毎日のように充電して、常時腕に巻いて使い続ける」ことを考えると、「iPhoneでできるならiPhoneでいいじゃん」の先をなかなか超えられないのです。もちろん、「その先」にある価値観として「iPhoneでできるあれもこれもAWでできるようになると、iPhoneを手に取る機会が減るんだよ!」なども説明するのですが、使ってない人にはなかなかピンとこないんですよね。難しい課題です。そしてApple Watchはさらにその先をゆく、という。
とまあApple Watchそのものの課題は置いておいて、今後改善してほしい点としては以下。
- バイタル管理デバイスとしての拡充。
- 体温計測定
- 血糖値測定
技術革新がんばれ。血糖値は注射器前提になっているから早く実用化してほしいし、体温は女性向けに喜ばれるでしょう。ルナルナ的なやつが自動測定されたらそれだけで神機能になる。男性としても自分の体調のバロメータとして体温は有用。手首・腕でどうやって正確に測るかどうかはあるけど、変化の推移のグラフ化くらいはできないのかな?
Lightningはまあ容積インパクトが大きいから無理だろうけど、あったらクソ便利。Qi普及が進むかどうか次第か? あるいはiPhone本体から電源もらうなど…何かしら違う給電経路を作ってほしい。今はApple Watch専用の充電器が必要なので、短いケーブルを追加購入して凌いではいるが、たまたま手元になかったりするのでかなり困っている。